八雲牧場は、牧草の生産・肉用牛の繁殖・肥育までの一貫した体系のもとで、畜産並びに家畜の衛生対策などの実践、畜産学、獣医学に関する全般的教育を推進することを目的とし、昭和51年付属牧場としてに開設された。牧場開設以降の昭和50年代は、日本経済は高度成長時代のピークを迎え、豊富な外貨で食糧や飼料の輸入が急増し、時代は飽食とグルメ志向へ向かった。平成3年からは自由化で安い牛肉が市場に出回り、国内の多くの肉牛農家にならって黒毛和種を主体とする高品質牛肉生産を試みたが、購入飼料が増大すると共に牧場内では草資源の利用が後退し、堆肥が余り環境汚染対策が必要となった。購入飼料の主原料は輸入穀物であり、これを食べた家畜の糞尿は、飼料の生産された土地に還元されなければ物質循環は成立しない。これは当牧場だけでなく、我が国畜産が直面する重大な課題である。このために立地条件の特徴と21世紀の畜産のあり方を考慮し「物質循環を重視した自給飼料による資源循環型牛肉生産」を基本方針とすることとなった。