詳細・歴史
ドメーヌ・プリウレ・サン・クリストフは1982年ミシェル・グリザールによって設立されたサヴォワ地方を代表するドメーヌ。
“唯美主義者”“詩人”“無法者”“モンドゥーズの教皇”これらは全て評論家や専門誌がしばしば使うミシェル・グリザールの愛称です。
ミシェル・グリザールは1971年から父親のドメーヌで栽培と醸造を行います。残念ながら翌年の収穫前に父親は亡くなりますが、二人の兄弟が加入しドメーヌは継続。1978年にミシェルは後にドメーヌ・プリウレ・サン・クリストフの名付け親となるメゾン・パニャンの未亡人から畑を購入。1982年に自らのドメーヌを立ち上げる為に家族のドメーヌから離れます。
独立した目的は“モンドゥーズを偉大なワインへと復興させる”事。モンドゥーズはシラーの親戚の品種で今日ではサヴォワの赤ワインの代表格として知られています。
ファースト・ヴィンテージは1983年で、その後1985年にフレテリヴとアルバン村にある6haの畑にあるアルテスを植え替えました。1991年アルベルヴィル・オリンピックの年にパリの星付きレストランでオンリストされたことがきっかけでドメーヌの名前も知れ渡ります。1994年、1995年でのビオディナミ・ワインメーカーの会合でビオディナミ農法に感銘を受け、ピエール・マッソン、フランソワ・ブシェのサポートもありビオディナミを開始し、また古代品種を学び、プロモートしていく団体ソントル・ダンペログラフィ・アルパンを設立します。
2000年代に入るとサヴォワを代表する偉大な生産者の一人の地位までのし上がりましたが、ミシェルは高齢であり後継者もいなかった事から2014年に引退を決意。
世界中の素晴らしいレストランで提供されていたサヴォワ最高のワインはもう造られる事はないでしょう。
追記
2016年9月に訪問した際ドメーヌ・ジャッキーノの当主がドメーヌ、畑ともに引き継ぐ形で買い取ったそうで、プリウレ・サン・クリストフの名前は残る事になりました。ファースト・ヴィンテージこそジャッキーノ氏に任せたためスタイルが異なりますが今後数年でかつてのスタイルになるように指導するとの事なので気長に待ちましょう。
畑
6haを所有。モンドゥーズが4ha、アルテスが1.4ha、非常に珍しいモンドゥーズ・ブランシュが35aだけ栽培されています。ブドウの平均樹齢は25年。
土壌は大きく2つに分ける事が出来、1つはフレテリヴ村にある石灰質土壌、もう1つはアルバン村にある粘土石灰質土壌です。
栽培はビオディナミ。
醸造
1992年以前までは全房、1992年から1998年の間は除梗し、それ以降はプレステージ・キュヴェのみ全房発酵が行われています。発酵期間は3週間。冬をタンクの中で過ごし、マロラクティク発酵は比較的温暖なセラーの中で通常より早く進みます。熟成はプレステージ・キュヴェの場合最大で20%の新樽が使われますがトラディション・キュヴェは新樽を用いません。
樽の年齢は15〜20年使用樽で、スミス・オー・ラフィットの使用樽を購入しています。熟成期間は最短で18ヶ月。2005年の場合は30ヶ月、2007年の場合は36ヶ月行っています。
1990年代の間は卵白を使用してコラージュを行っていましたが今日では行っておらず、年によっては行いませんが通常軽くフィルターを掛けて瓶詰めされます。
Source : anyway-grapes.jp