サン・テミリオンやポムロールに続く同じ台地。ジロンド県で2番目に標高が高い場所に位地しドルドーニュの美しい谷に張り出したこの地は、産出されるワインの素晴らしさによって古くから“奇跡の丘”と呼ばれていた。現在のシャトーは1832年に祖先のアモロー・バルテルミーによって建てられたが、祖先は17世紀よりこの地に住んでいる。石と土を混ぜた城壁の跡が多く見られはゴール人がこの地を支配していた事を伺わせる。有史以前の石切り場が存在し、そこからは現在でも石器が見つかる。
シャトー・ル・ピュイでは“ビオロジック農法”と“ビオディナミ農法”を取り入れている。
特に驚くべき事を行うのでは無く、私達の祖父たちが同様に化学肥料・除草剤・合成殺虫剤を使わないという事。収穫の際には葡萄を発酵槽に入れるまでは、決して葡萄を傷つけない様に最新の注意を払う。こうする事で発酵前の参加を防げる。酵母の添加及び補糖は行わない。
発酵後は発酵槽より大樽又はバリック樽に移して熟成させる。ワインは約2年の間味わいを深めていく。この間はしばしばスーティラージュを、また必要に併せてコラージュを行う。毎週熟成の進み具合を確かめる為に全ての樽の試飲を行う。
瓶詰め前はフィルターをかけず、月の動きに合わせて最新の注意を払いながら行われる。瓶詰め後コルクは蜜蝋よって封をされる。
シャトー・ル・ピュイのワイン
• Barthélemy バルテルミ
メルロ85%とカベルネ・ソーヴィニヨン15%が植えられている“レ・ロック”と呼ばれる区画の葡萄を使用。何も添加せずにアルコール発酵を行った後、月の周期に合わせてワインを活性化(ディナミゼーション)しながらバリック樽(古樽)にて24カ月の熟成を行う。その間も亜硫酸及びその他の物質は一切添加しない。フィルターをかけずに瓶詰め。色調は深みのある紫色。香りは熟した葡萄を詰めたバスケットの様に広がる。口中は豊かな味わいが広がり、深みのあるしっかりとした構造と柔らかさの両面を合わせ持つ。余韻は長く我々を魅了し、飲み続けたくなるワイン。肉料理全般に。またジビエやキノコ類などデリケートな料理と合わせても料理の繊細さを壊す事なく調和する。非常にエモーショナルなワインである。
• Émilien エミリアン
メルロ85%、カベルネ・フラン14%、カルメネール1%が植えられた畑の葡萄を使用。大樽及びバリック樽(古樽)で24カ月の熟成を行う。色調はガーネット。若いヴィンテージはルビー色が強く、熟成を行うにつれてオレンジの色調、更に古いヴィンテージは玉ねぎの皮の様な色調を帯びる。香りは熟した赤系果実が主体。カシス、スグリ、炒ったアーモンド、時にはキノコや下草の香りも感じられる。口中はたっぷりとして丸く、ビロードの様なタンニンが感じられ余韻は長く凝縮している。非常に繊細でそのタンニンの滑らかさより若い内からも楽しめるが数十年の熟成を重ねる事でよりテロワールの深さを感じる事が出来る。長期熟成が可能。ノン・フィルター。 家庭料理からより繊細な料理まで幅広く合わせる事が出来る。甘美かつデリケートなワイン。
• Marie-Cécile マリー・セシル
セミヨン100%。醸造及び熟成は月の周期に合わせてワインに活力を与えながら(ディナミゼーション)バリック樽(古樽)にて行う。亜硫酸の添加はしない。自然に近い白ワインの模範となるワイン。輝きのある金色、香りは非常にフルーティーで洋梨やエキゾチックな花の香り。緻密な骨格を持ちながらも滑らかな口当たり。余韻は繊細なミネラルが長く続く。繊細さと色の変化を防ぐ為に抜栓後は2時間以内に飲むことが望ましい。若いヴィンテージは魚介類や青カビのチーズと共に。ピュアでデリケートなワイン。
• Rose-Marie ローズ・マリー
アルコール発酵中の発酵槽よりワインを抜き取るセニエ法によって造られるロゼ。毎年ヴィニョロンによりメルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カルメネールの中から最適な品種が選ばれる。一切の添加物は加えずにバリック樽(古樽)にて6~10カ月の発酵が行われる。その後フィルターをかけず、亜硫酸の添加を行わずに瓶詰めされる。完全に自然に近い造りのロゼ。色調は明るいルビーから淡く透明感のあるルビー色まで年によって異なる。赤系果実及び牡丹の様な白や淡い色の花のアロマ。口中は軽やかながら僅かなタンニンも感じられる。類まれなるロゼ(クレレット)